easy-notify






easy-notifyを実装

[easy-notify id=1160]


Locally Hosted Content (Iframe/Direct Link To Text File)


Inline HTML Link Name

『ダイフェカーター』は、「悪魔の牡猫」と呼ばれるパンの名前です。
なぜそんな名前がパンに付いているのか、知りたくなりませんか?
かれこれ10年ほど前、ある講演会のそんなタイトル魅かれ、私はその正体が無性に知りたくって講演会を訪れてみました。
そこで私は400年も前のパンに出会いました。初めて目にし、口にした不思議なパンでした。
そして、それがきっかけで日本で唯一、そのパンを作ることとなりました。その感動とパンがもつクリスマスに関わる不思議な世界をご紹介いたします。少し長いお話となりますが楽しんでいただけましたら幸いです。
*    *    *    *
『ダイフェカーター』は、クリスマス菓子として名高いシュトレンと同様にヨーロッパで長い間クリスマスに作られる特別なパンだったそうです。今では知る人もほとんどなく、オランダのたった一軒でしかこのパンは焼かれていないそうですが、シュトレンと同様にその言い伝えや製造には深い意味があり、クリスマスに秘められた不思議な世界を垣間みる事ができます。
まず、その謎を解き明かしたのは、舟田詠子先生です。この方をご紹介なくして、このお話は進みません。
舟田先生は「ダイフェカーター」の講演を開催された方でもありますが、長年にわたりパンの文化史を研究されており、ヨーロッパ各地で文献研究とフィールドワークを行なっていらしゃいます。ご自身も1年の半分はヨーロッパで暮らし、日本に戻ると楽しい講演会を開くなど、非常にアクティブな毎日を送られています。
著書に『パンの文化史』『アルプスの村のクリスマス』『誰も知らないクリスマ』など多数あり、クリスマスとパンの文化の研究にも大変長い年月をそそがれています。舟田先生がこの「ダイフェカーター」という名のパンに出会ったきっかけは、1枚の絵だったそうです。絵の中に描かれた、妙な形のパンを見て「なんだろう?」と思ったことから、その研究は始まったのだそうです。そして10年以上の年月をかけて、その結果をまとめられました。
絵は「聖ニコラス祭」を祝う家庭風景を描いたものでした。私もその絵の写真を見せてもらいましたが、申し訳ないことに「これが問題のパンです」と指差されてもなお探してしまうほど印象のない存在でした。ごちゃごちゃとした日常の風景の中に、小さく描かれたものした。
もともとダイフェカーターは、本来は大きく焼かれるパンだったそうです。1本が2キロもあるでしょうか、小さなお子さんなら抱えて持つとよろけるほどだったと聞きました。
とても重たくずっしりしたパンです。そして表面は黒光りして、得体の知れない絵柄が切り込まれます。
私も数回ほど忠実に再現して焼き上げてみましたが、それを店に飾るとそれはそれは おどろおどろしい雰囲気を漂わせ、大変人目を引くのでした。今はZOPFバージョンとして小さく、柄も可愛らしく作らせてもらっていますので、先にその点はきちんと訂正しておきましょう。さて、このパンはお祭を祝って飾られたものだそうです。
その祭りは『収穫祭』。収穫後を祝う祭りであり、また翌年の収穫を願い行われるものです。人々の強い思いが込められいる訳です。そこで、魔除けの意味も込め、そのお祭りでは、なんと本物の猫を生け贄(いけにえ)として扱った時期があったそうです。残酷ではありますが、そのくらい強い思いがこめられたとされます。
しかし、いつしかその行事は猫を象ったパンに代用されるようになったのだろうと言うのです。ですから、そのパンの形をよく見ると、両端のくるっと丸められている部分は骨の端のように見えませんか?実はこれは猫のスネを象ったとされ、中央のぷくっと膨らんだ部分は、スネの骨に付く肉を表現しているのだそうです。ぎょっとしますね。
ですから柄は骨に付く肉の様にスジを描かないといけないのだそうですよ。ますます不気味になってきますけれど。ところが、意表を突くのがその味わいでした。
姿形からは想像がつかない、心を和ませてくれる味があります。
またその配合からも日持ちがするよう作られたパンであったと推測することができました。
すなわち収穫祭を祝って作られ、飾られてから、人々は喜んで食したのでしょう。日本なら「鏡もち」といったところでしょうか?おどろおどろしさをかもし出し、魔除けとしての役割を果たしつつ、来年への願いも託すこのパンは、いつも私達が食べている日常使いのパンとは異なる意味合いがあるのでしょう。
そんな、ちよっと変わったパンでクリスマスをお過ごしになるのも、一興かもしれません。「ダイフェカーター」と共に、誰も知らないクリスマスを体験されてはいかがでしょうか。
詳しい「クリスマスの世界」が知りたくなったら、ぜひ舟田詠子著『誰も知らないクリスマス』(朝日新聞社)をご覧になって頂けたらと思います。現在は終売となっているそうですが、図書館で見つけることができるそうです。非常にかいつまんだ説明となりましたが、クリスマスを楽しむパンをぜひどうぞ!*    *    *    *

◆◇ 食べ方 ◇◆

薄くスライスしてお召し上がりください。
紅茶・コーヒーなどカフェとご一緒にどうぞ。

・原材料名・
小麦粉 きび砂糖 天日塩 生イースト フレッシュバター 牛乳 レモン

消費期限につきまして

シュトーレンは本来大変日持ちの長いお菓子ですが、保管場所が温かい昨今の住宅事情下では、まれにカビ等が発生してしまうことがございます。開封後は衛生的に取り扱いいただき、冷暗所にて保管してください。また、直ちに冷蔵庫にて保管されますと、本年のクリスマス時期までお召し上がりいただけます。

—-